10冊附195点/江戸時代(17世紀)/射和町自治会
県指定 有形文化財(典籍) (平成元年7月26日)
延宝6年(1678)、射和の商人・帯屋次郎吉は、長九郎という名の子を亡くします。菩提を弔うために、長九郎が日頃親しんだ身の回りの絵本や手習いの反古紙類を紙袋に入れて、大日堂の地蔵菩薩坐像の胎内に納入したものがそのまま伝来し、昭和10年に行われた地蔵菩薩修理の際に発見されました。
子供絵本は、「天狗そろへ」「どうけゑつくし」「悪僧づくし」「せん三つはなし」「軍舞」「いも上るりびじんたゝき」「牛若千人切はし弁慶」「源よしつね高名そろへ」「弁慶誕生記」「おぐり判官てるて物語」と10冊。それぞれに題簽(だいせん)があり、寛文期から延宝期に京都で出版された小本(縦12cm余、横9cm余)で、この種のもので現存する日本最古の上方絵本とされ、児童文学史上でも他に類を見ない貴重な資料です。これらの多くは呉服、小間物商の伊勢商人が、京より伝えたといわれています。
絵本とともに納入された実用書2冊、瓦版1枚、反古紙189枚、絵巻写2巻と紙袋2点が「附」として文化財の指定を受けています。