射和町の文化財Cultural Resource

大淀三千風関係資料

概要

2巻/貞享3年(1686)/射和町 延命寺/紙本墨書、巻子装、36.8×416.8cm及び36.8×571.8cm
市指定 有形文化財(美術工芸品)(昭和60年3月30日)

 「戴竜山延命寺眺望の詞并九景」及び「戴竜山延命寺院中地蔵院九景の品定」と表題が記された紙本墨書は、全国行脚を続けていた大淀三千風が、貞享3年(1686)に帰郷した際、延命寺の情景を寺に書き残したもので、当時、延命寺は本堂を再建じ、伽藍の整備が進んでいました。
 大淀三千風は、寛永16年 (1639) 、飯野郡射和村(松阪市射和町)の商家の生まれ。本姓は三井・名前は友翰(ともふみ)。少年の頃から俳諧に関心があり、31歳の時に許しを得て仕事を辞めて姓を大淀と改め、歌枕として知られた松島(宮城県)に行き、そのまま仙台に住みました。俳諧の指導をしながら、「大矢数」に挑戦し、一晩に3000句という記録を樹立し、これ以後「三千風」を名乗りました。45歳でかねてからの願いであった諸国遍歴の旅に出て、名所発掘に功績を残し、旅の記録『日本行脚文集』7巻や、田子の浦や松島、箱崎、天橋立などの「本朝十二景」、射和延命寺からの九景など、名所に添った俳文を残しています。