射和町の文化財Cultural Resource

木造地蔵菩薩坐像

概要

1躯/南北朝時代/射和町 大日堂(旧射和寺)/像高84cm、寄木造
国指定 重要文化財(彫刻)(大正4年3月26日)

 像高84㎝、檜材、寄木造。右手に錫杖、左手に如意宝珠を持つ地蔵像。白毫は水晶、眉は長く、玉眼の目は切れ長で半眼となっていて、円満な相でほのかな笑みの漂う庶民的な顔立ちです。肩はなだらかですが、胸とともにやや張っています。全体として整った容姿で、品位と慈愛が滲み出ています。衣の全面に蓮華唐草文、左肩と腹前には龍の文、襟縁には雷文が見られ、盛り上げ文様が丁寧に施されています。衣のひだは大きく深く、裳のかえりや衣褶のたたみにも、南北朝期を下ることのない頃の作品と考えられています。
 本像が伝来した大日堂は天台真盛宗で、もとは射和の北方、字中山の山中にあり、射和寺に合併されました。射和寺は中世に福龍寺や福眼寺と呼称され、伊勢国司北畠氏の祈願所となりました。